田野畑高校 修学旅行 1995  第三日(12月6日)


平成7年1月17日に発生した阪神大震災は 6500人以上の死者を出す戦後最大の震災となった。 修学旅行の三日目は、罹災地の中でも被害の大きかった神戸市に足を踏み入れた。 私たちの田野畑村は、かつて津波で大きな被害を受けている。 昨年の生徒会誌『北燈』No.15'94に、特集「田野畑の津波」を掲載したが、 あの調査を行った私たちは、ぜひとも神戸に行きたかったのだ。

バスの車窓からは、当時の映像で見たものとは比べものにならないほど 町並みが整然としていたが、分断された高速道路や、ビルや家屋の微妙な傾き、 壁のひび割れなどの光景は、今もなお如実に地震のすさまじさ、 恐ろしさを訴えかけていた。

この日最初に訪問した神戸北野は、迷路のような坂道に異人館が散在し、 東洋と西洋が混ざり合うエキゾチックな町並み。しかし多くの異人館や店が、 補修工事で閉まっており、震災の爪痕がここにも見られた。

短時間の自由散策を終え、神戸開港120年を記念してつくられた ハーバーリゾートのメリケンパークを訪れた。真っ赤なつづみ型をした 神戸ポートタワーでの昼食の後、隣接する神戸海洋博物館を見学し、 ポートアイランドを臨む景観や、ゲーム、記念メダル、合成写真など、 ひとときを楽しんだ。

私たちは、ただ神戸を訪れるだけでなく、神戸の高校生と 交流をしたいと考えていた。そこで、全国高等学校総合文化祭などで以前から (私たちは) 知っていた、 神戸国際大学附属高等学校 にお願いし、交流会を開いてもらうことにした。同校は、放送部の活動が盛んで これまで毎年のように全国コンクールで優勝している。 田野畑高校放送委員会でも、この学校の作品を参考にしながら、番組を制作してきた。

男子生徒1300人余りが通うキャンパスに午後3時半に到着。 同校の先生や生徒会・放送部の皆さんが待ち受けていて、 さっそく交流会場に案内された。交流会では両校代表による挨拶に続き、 それぞれのビデオを上映、互いの高校生活や活動が紹介された。

神戸国際大学附属高等学校は、 震災時のボランティア経験を描いたビデオ作品 (12月末の全国高等学校放送コンクールのときに、作品のテープをいただいた) の上映や、お昼のディスクジョッキー番組を実演、息のぴったり合った様子に、 私たちは「さすが! 」と感心するばかりだった。

続いて行われたグループに分かれての懇談会では、 いつになく内気になってしまった私たちの口べたや、交流時間不足もあって、 ちょっと中途半端な感じになってしまった。しかし最後には一緒に記念撮影をしたり、 バスを走って追いかけながら見送ってくれたりと、心温まる厚遇を受けた。

特に、男子校を訪ねたせいか、

いい男二人見つけた一時間   よしえ
反対に田野畑来てね待ってるよ  なみ

と詠むなど、心に残る、貴重な時間だった。

交流会の延長や、神戸市内の道路交通事情もあり、京都への帰路は大幅に遅れ、

渋滞を初めて経験辛かった   よしのぶ
バスの中とても疲れたケツ痛い  たいち

など、疲労も大きかったが、宿では揚げたての天ぷらを食べてもらおうと、 到着を待ち受けていてくれた。おいしい晩飯を腹いっぱいに詰め込んだ私たちは、 旅行最大のイベントを振り返りつつ、翌日の自主研修を楽しみに、一日を終えた。


三日目の感想文から

りか
神戸異人街の店のおねえさんが、私たちの制服を見て 「もしかして、すごくお金持ちのお嬢様学校なの? 」 と言ったけど、私は「全然そんなんじゃないですよー」と思いっきり言ってしまった。 今考えれば「そうですのよ、オホホホ」とでも気取って言っておけば良かったと思う。 正直者は辛いものだ…。
しのぶ
メリケンパークではクイズにはまってずっとやっていた。なかなか良かった。
さちえ
ゲームセンターでタロット占いをした。私の班のTさんがパチンコをして、 130点位いってキーホルダーを見事獲得していた。すごい。 佐々木先生にも負けないくらいうまかった。
みさと
今日はとっても緊張しました。理由は、男子校に行ったからです。 人見知りする私は何も話せませんでした。でも××くんが結構面白いことを言って 笑わせてくれたり…。××くんに悪いなって思っています。
なな
神戸国際大学附属高等学校で、 生徒の人が私にお菓子を持ってきてくれたんだけど、スゴく手がふるえていた (そんなにキンチョーするなよ)。 帰り道、疲れていたので大口を開けて眠ってしまった。
ひろゆき
交流会そのものでは話はしなかったが、 バスへの帰りに4、5人と話すことができた。とてもいい奴らだったので、 交流中に話せれば良かったなと思った。
しょうご
今日屋上でスケボーをしてたら、転けて鼻の上を怪我した。 スケボーが接近してきて、ちょー怖かった。 12月27日の放送コンクールのときに、神戸のみんなとまた会える。


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