田野畑高校では、毎年3年生が岩手山登山を行ってきましたが、 今年から1年生の行事に変えました。今年(1998)と来年(1999)は その移行期間に当たるわけで、1・3年が登山をします。 3年生の登山は姫神山に変更しましたが、 1年生の登山だって、いろいろ大変だったんですよ。
9月3日に発生した地震は、雫石町長山(岩手山のすぐ南)で 震度6弱 を記録、烏帽子岳への登山ルートが土砂崩れで 通行止めとなりました。岩手山が登山禁止になったため、1学年の登山先は 烏帽子岳にするぞ、と準備を進めていたのに、 登山ルートだけでなく、烏帽子岳山頂部分にも亀裂が入り、仮に登山できても 登頂出来ない状態になってしまいました。
岩手山はダメ、烏帽子岳もダメ、おかげで 菅原先生と近藤先生は夏休みが明けてから、 ずぅーっと あふあふ してました。
で、急遽岩手山青年の家の利用をキャンセルし、次のターゲットを早池峰山に決め、 9月18日、台風5号と6号の合間を縫うように、1学年は 川井村の横沢冷泉へと出発していきました。
9月19日、僕たちは早池峰登山に挑んだ。去年、僕の地元の小学生が この山に登っていたので、所詮初級レベルだと、生はんかな気持ちでいたので、 前日はあまり寝なかったし、ろくな装備もしていなかった。
当日、朝早くに早池峰山の登山道までバスで行った。天候は よいとは言えなかったし、バスの中で寝ていたせいか、どっちが北でどっちが南か 分からなかった。それどころか、今から登る山はどこにあるのかさえ分からぬまま、 古澤先生を迎え、注意事項を聞き、登山道の森の中へ入っていった。
僕は、そこでいきなり度胆を抜かれた。最初はきちんと板で舗装された道が すぐ砂利になり、ついには岩だらけの道になったのだ。 こんなことは想像もつかなかったし、さっきまでは、上着を着てても 寒いくらいだったのに、すごく暑くなってきた。そして長い森の中をぬけると、 目の前に岩だらけのおおきな「やま」が霧の中からあらわれた。 こんな光景を目にするのは生まれて初めてだ。登る前の余裕な気持ちはどこかへ 吹き飛んでしまっていた。
登りながら上を見ていて、山の頂上が「あれ」だと思っていても、いっこうに 着く気配がない。僕は、ビデオカメラを持ち、集団の先頭に行ってはみんなを撮り、 また走って先頭まで行くという過酷な登山をしていた。
霧の中に入り突風が吹いてきた。髪は濡れてくるし、気を許せば強風に倒されそうな くらいだった。そして難関の絶壁を登る「はしご」があらわれた。 山登りがこんな厳しいものだと、また改めて実感させられた。
そして、頂上に着いた。頭の中は真っ白だった。本当に今僕が立っているところは 1917メートルの山頂なのだろうか。辺りは一面真っ白で、景色が見えなかった。 しかし、はじめての登山として、僕なりに結構充実したものだったといえる。 この感動をもっと膨らませるために、また、挑戦したいと思っている。
岩手山登山の場合、どんなに元気な学年でも、頂上に全員立つ ということは至難の業です。早池峰は、北上高地の最高峰。 し か し、今年は山も違うけど、3年の姫神山も、1年の早池峰山も、 全員が頂上を極めてきました。50年目の田高生も、やっぱり ウルトラハイパワーダイナミック高校生だったのです。
岩手山など
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