田野畑高校 田野畑高校ニュース 1998年4月


こうたろうの試練 (1998年4月24日)

今年の一年生は23名。そのなかに、こうたろうくんというチャーミングな おとこのこがいます(一太郎とは関係ありません)。応援歌練習も終わった4月23日、彼は 応援団長の3年あつひろくんから、試練を与えられました。
「おう、明日の野球応援、太鼓もってけよ」

田野畑高校には、硬式野球・女子バレーボール・男子バスケットボール・ 女子ソフトテニスの4つの運動部があります。4月24日は、高総体宮古地区予選と 宮古地区硬式野球8校大会の日で、92名の全校生徒のうち、53名は選手として、残り39名 (文化系のクラブのメンバー) は野球の応援に行くのです。 しかし、田野畑高校の応援団はだいたいバスケ部の男子でできているので、 野球応援の39名の中に、応援団員は JRC同好会のこうたろうくん しかいません。 それも入学してほんの2週間の1年生です。

4月24日7時30分、応援バスの出発を前に、こうたろうくんは、引率の 久保先生に「あのぉ、先輩に太鼓もってけって言われたんですけど…」 「もってかなきゃ男じゃないんじゃないの」 「ええええぇぇぇぇ…(゚o゚)」

会場の山田球場に着くと、ちょうど田野畑高校の試合が始まるところ。 意を決した こうたろうくんは、「じゃ、エールから行きます。フゥレェーーー フゥレェーーー、たーーこーーおーーーー」(「たこう」って田野畑高校のことです)
ところが、エールをサポートする太鼓が響きません。だって 誰も叩いてないんだもの。当然、生徒の声も全然ついてきません。 野球部席からはため息も聞こえ(たような気がする)、応援団は試合の足を 引っ張り始めたか、とそのとき、
「しょうがねえなあ、踊組の太鼓やってんだから、応援の太鼓も だいじょぶだろ、かずゆき、やれよ」「おう、じゃ応援旗は だいし が立てて…」

試合が4回に入る頃には、こうたろうくんをリーダーに、曲がりなりにも 応援歌・エールを繰り出す いっちょまえの応援団ができていました。 試合の方は、残念ながら2-7で惜しくも敗れましたが、9回まで手に汗を握る 展開を見せました。翌日(4月25日)には、久々の勝利を味わい、硬式野球部も 夏への意気を大いに高めていました。

夕方になり、各部とも試合を終わって学校に帰ってきました。 「おう、こうたろうをほめてやれよ。あいつすごかったぞ。ちゃんと 応援やってきたから」「え!? おれ冗談で 太鼓もってけって言ったのに。だって去年までは ただ試合を見に行くだけだったから…」

こういうのって、始めるまでが大変なんですよね。でも始めちゃえばすぐに 自分たちの世界がそのへんにできてきて、大丈夫になるんです。


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