癒しの湯台温泉

松の湯

温泉分析表

温泉分析表     27衛研 第184号

依頼者住所     岩手県稗貫群湯本村大字台2の62
依頼者氏名     共有者代表 小瀬川 金吾
温鉱泉(松の湯)   岩手県稗貫群湯本村大字台第2地割58番地

定量分析 1種

 昭和27年3月20日、岩手県衛生研究所員が依頼により現地に出張し、泉源に於いて採取した鉱泉について、温泉中分析法によって定量分析を施行した。成績は次の如くである。

1.現地で施行した試験成績

源泉温度 83.5℃   (気温) 3.8℃
性状 無色透明にて強い硫化水素臭を有する。
水素イオン濃度     phは、7.7である。
湧出量 1分間の立量 174.6
総硫黄 6.1212ミリグラム (鉱水キログラム中) (沃度滴定法による)
硫化水素 3.3332ミリグラム (鉱水キログラム中)
第一鉄イオン 検出せず

2・試験室に送致された検水について施行した成績

水素イオン濃度     ph 7.5
蒸発残溜 1.0800ミリグラム (鉱水1キログラム中)
比重 1.0003 (摂氏15℃)
   
カチオン ミリグラム ミリバル ミリパル%
カリウム(K) 47.080 1.20272 7.64
ナトリウ(Na) 313.990 13.6521 86.46
カルシウム(Ca) 17.720 0.8860 5.61
マグネシウム(Mg)  0.390 0.0320 0.20
アルミニウム(Al) 0.019 0.0021 0.02
第2鉄(Fe2) 0.023 0.0012 0.01
アンモニウム(NH4) 0.162 0.0101 0.06
合計  379.384  15.7907  100.00

 

アニオン ミリグラム ミリバル ミリパル%
クロール(Cl’) 167.5000  4.7249  29.92
硫酸(SO4’) 467.5000 9.5340 60.38
ヒドロ炭酸(HCO3’)  73.2000 1.2000 7.60
硫水(HS’) 2.7880 0.0845 0.54
フッ素(F’) 4.7000 0.2473 1.56
珪酸(メタ)(H2SiO) 117.0000 1.4988  
硼酸(メタ)(HBO2) 17.7180 0.4043  
遊離炭酸(CO2) 24.9200 0.5663  
遊離硫化水素(H2S) 3.3332 0.0980  
総合計  1248.0432    

 

 以上定量分析の成績によれば本鉱泉は含弗素硫化水素芝硫泉(緊張性温泉)に属する。依って日本温泉協会学術部委員会の規定に適応する医治効用及び禁忌症の概要を揚げれば次の如くである。

浴用
(1)慢性関節及び筋肉リュウマチ(2)慢性皮膚病(3)創傷(4)慢性婦人科疾患(5)陳旧性梅毒又は変性梅毒殊に腎髄癆(6)慢性金属中毒症(慢性水銀、鉛中毒症)(7)心臓弁膜症 等

飲用
(1)常習便秘症(2)肥胖症(3)動脈硬化症(4)糖尿病(5)ジン麻疹(6)金属中毒症(7)慢性気管支カタル

吸入
(1)呼吸器病 (2)アレルギー性疾患(3)小児病(耳鼻咽喉気管支カタル)

浴用禁忌症
(1)諸種急性病(2)結核及び悪性腫瘍(3)高度の心臓病及び高血圧症

飲用禁忌症
(1)結核性疾患殊に肺結核(2)胃腸カタルにて消化管が過敏の場合常用禁ず(3)下痢又は下痢の傾向あるもの(4)全身衰弱甚だしく下痢剤の投与に耐えない場合

源泉に於ける調査及び試験者    佐藤 彰  金田一 吾一
試験室に於ける試験者       佐藤 彰  金田一 吾一  大久保 陽一

昭和27年5月1日
厚生省指定  岩手県衛生研究所

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