修学旅行 1995
第一日(12月4日)
修学旅行 1995
第一日(12月4日)旅行初日、集合時間のずうーっと前から、両手いっぱいに荷物を抱え、 私たちは談笑の中でこれから始まるエキサイティングな旅に胸を踊らせていた。 家族や教頭先生が見送る中(そういえば、ほかの先生方はどうしてたんだろう)、 「集合場所に俺がそろったら出発」という予告通り、最後に担任の近藤先生が集合、 乗車し、バスは一路花巻空港に向けて出発。
心配された早坂峠は、積雪もあったが 県北バス運転手の熟練したハンドルさばきで運行され、 途中の岩洞湖で小休憩をはさみながら、時間通り順調に空港に到着して、 まずはみんなをホッとさせた。
搭乗手続きは添乗員の盛合さんにお任せし、搭乗券を手にした私たちは 金属探知器付ゲートに。さっそく「ピーピー」と探知機を反応させて、 係官を忙しくしてしまう生徒も何人かいたが、なんとか全員無事に通過した。
それぞれの座席に着き、いよいよ始まる大空の旅に、少し緊張気味の様子。 窓際席に着いた近藤先生も、押さえ切れぬ興奮を胸に、飛行機が動き出すやいなや、 禁止を無視してビデオ撮影を開始した。一方、この時 海外生活経験者である岩渕先生は余裕をかまして足を組み、 スチュワーデスから配られた雑誌を読んでいた。
近藤先生はジェットエンジンによる加速感に感激して歓声を上げ、 離陸、上昇、上空からの景色等を記録に収めた。この時の空の旅の心境を まことは、
上空に映る我が身が鳥のよう
とロマンチックに詠んでいる。
離陸から1時間も過ぎると、早くも飛行機は徐々に高度を下げて 大阪空港への着陸体制へ入った。大阪市街を眼下に近藤先生は、 またビデオ撮影を開始し、着陸という、最も緊張する一瞬を待った。 大きく膨らむ期待や不安を打ち消すように、飛行機は意外とすんなりと着陸。 初めての体験に 「気持ちが悪かった」「とても緊張した」「短かすぎて 旅行という感じがしなかった」「思っていたより怖くなかった」「空から見る 雲や地上の眺めはとても良かった」「面白かった」「すごく感動した 感激した」と、感想を抱いていた。 約1時間20分の空の旅を終え、私たちは「最も大きかった不安の半分はこれで消えた」 と、大地をしっかりと踏みしめたのであった(あとの半分は近藤先生の寝坊)。
大阪空港で荷物を受け取った一行は、さっそく旅行中の案内役を務めていただく 奥野ゆかりさんという傾城のバスガイド (習ったばかりだから使ってみた) の出迎えを受け、 大阪弁に耳を傾けながら最初の宿へ到着した。
宿の主人への挨拶や荷物搬入を済ませ、夜のメインイベントを前に、 さっそく自由時間。まだ日の高い大阪道頓堀の街へと各グループごとに散った。 地図を片手に道に迷いながら、目当ての店で列に並んでたこ焼きを求める者、 名所・有名店の前で写真を撮る者、買い物を楽しむ者など、思い思いに行動した。 最初は慣れない環境に戸惑いもあったが、
大阪で本場の味を知ったのだ
しょうご
たこ焼きはやっぱり大阪おいしいぞ ゆいこ
大阪のたこ焼き買って幸せよ まさこ
などと詠んだ。本場の味を知り、
大阪弁ガイドも店屋も大阪弁
ひろゆき
大阪の姉ちゃんとてもノリがいい たくみ
道迷い聞く人すべて大阪弁 たいち
活気あふれる大阪人を目の当たりにして「ああここは本当に大阪なんだわ」と 実感したのであった。
宿で夕食を済ませた一行は、徒歩で、この日最大の楽しみだった 吉本興業のなんばグランド花月へ。開演と同時に 休みなく次々とかまされる吉本漫才のお笑いに」「とてもイカしてた」「すごく 楽しかった」「もう笑いっぱなしですごく疲れた」「笑いすぎて 死にそうになった」と口をそろえ、「さすが本場だね」「やっぱり大阪は すごい」「またいつか来たい」と初日の感想を締めくくった。
この経験は、2月に開催された予餞会で花開き、吉本ばりのお笑いを披露した 二年生たちのパフォーマンスに近藤先生は、「これは吉本効果だ」とつぶやき、 「あそこに連れていって本当に良かった」と、確信を深めていたのであった。
宿への帰り道、数名の女子がモテモテぶりを発揮、 ひょんなことから大阪のおっちゃんにたこ焼きを買ってもらい、
大阪のおっちゃんとても気前良し めい
と感激した。
