第19回全国高等学校総合文化祭放送部門 ビデオレター 奨励賞(全国1位)、全国高文連連盟賞、県高文連連盟賞
全国高等学校総合文化祭。文化のインターハイ、文化の甲子園とも呼ばれる この大会は、私にとって、大きな夢であった。
平成7年度の全国高等学校総合文化祭は、 新潟県で行われる。郷土芸能と放送の 二部門で代表に選ばれた田野畑高校は、ちょっとしたパニックになった。 踊組と放送委員で全校生徒の三分の一になるのだ。ならば全校生徒で 行こうじゃないか、ということで、またしても、村民の皆さんが援助の手を 差し伸べて下さった。一千万円にも上る寄付を戴いた私たちは、おそらく 全国高等学校総合文化祭史上初めて、全校での参加を実現するに至った。
平成7年8月4日、全校生徒94名と田野畑村民応援団を乗せた三台のバスは 新潟県を目指して田野畑村を出発した。 郷土芸能部門の会場は佐渡の佐和田町。放送部門は弥彦村で行われる。郷土芸能部門は コンクール形式で行われるので、新入生も加えた猛練習を重ねてきた。目指すは 最優秀賞 (文部大臣奨励賞) と、優秀校東京公演である。
放送委員会は、ビデオレター『田野畑高の野望』を制作し、全国大会に持ち込んだ。 もちろんテーマは、生徒会活動目標「田野畑高校を有名にする」である。 放送委員会の紹介から踊組の活動まで、制限時間の4分に伝えたいことの全てを 盛り込んだ、私の高校生活の総決算である。放送部門でも優秀作品には表彰がある。 「有名に」なるために、私たちもぜひ優秀作品に選ばれたいと願っていた。
岩泉高校田野畑校は、きっと この全国高等学校総合文化祭に参加している高校の中で、もっとも小規模な学校だと 思います。人口5,000人の田野畑村の、100名にも満たないミニ高校。でも わたしたちには、
野望
が、あるのです。けっこう大胆な野望です。で、それを実現しようと 全校で新潟県にやってきました。(つづく)
「田野畑高の野望」に参加したい人を
募集しています。お申し込みは、今すぐ、
〒028-84
岩手県下閉伊郡田野畑村菅窪
43-4
(地図帳107ページ)
電話
0194-34-2052
岩手県立岩泉高等学校田野畑校
放送部門の会場となった弥彦村文化会館には、全国各地からたくさんの高校生が 集まっていた。一日目、私は交流会に参加し、今年放送委員会が制作して岩手県内で 放送されている田野畑村のテレビCMを披露した。 他のメンバーが客席から盛り上げてくれ、「有名にする」作戦はうまくスタートした。 ビデオレター『田野畑高の野望』と審査の結果は、翌日発表される予定になっていた。
踊組は一足早く、私たちが交流会に参加していた頃、すべての日程を終えていた。 宿に戻ると、郷土芸能部門の結果が伝えられてきた。 今までで一番良い演技だったこと、そして、文部大臣奨励賞を受賞したことなど、 願い通りの結果だった。全国一有名になるという目標の達成が どんどん近づいてくることに興奮して、その晩なかなか眠ることができなかった。 そしてまた、次の日に分かる自分たちの結果はどうなのか、とても心配だった。
翌日、私たちはある計画を胸に、会場に向かった。そして計画を実行し、 まんまと「有名に」なった。
番組のラストシーンは、高等学校総合体育大会での田野畑高校の入場シーンである。 このシーンに合わせて、私たちがプラカードを掲げて会場を行進するのだ。 この計画を実行すれば、審査結果とは無関係に「有名に」なれるはずだ。 『田野畑高の野望』の番が来た。8人の放送委員は、 会場中に手を振りながら歩き出した。同時に、大きな拍手と歓声が聞こえ、 緊張も飛んで、大きな満足感が湧いてきた。やるだけのことはやった。
閉会式。結果発表。「岩手県立岩泉高等学校田野畑校」と、呼ばれた。 その瞬間、会場中から歓声が上がった。私は賞状を受け取りに、舞台へ向かった。 感激のあまり、手が震えた。このときほど、 三年間放送活動をしていて良かったと思ったことはなかった。
(1994/1995年度放送委員長 えりこ)